*

招き猫の謎を探る!の巻

英語が得意じゃない日本人の読者から『日本語でも書いてくれ!』という要望書を頂いたので、日本語でも同じようなことを書いてみますのだ。

ワタクシがツタナイ英語で書いてる記事は、日本の文化に興味を持ってくれてる日本語が読めない友達に、日本の文化について話をしてる気分で書いております。 というのも、残念ながら、英語で書かれている日本の情報って、ほんとに限られてるから・・・。

もちろん、外国の偉い研究者の方が発表しているかなり専門的な論文的なものや、日本好きの日本在住の人が書いてたりするけれど、ワタクシのような、ごく普通の一般人が知ってるようなレベルの視線のモノがないっ! なので、頑張って書いてます。

そして、もう一つ。

2 Hours Drive From Tokyo

このサイトは、北條さんと共著している英語のサイトで、東京から2時間で行ける東京近郊のお薦めスポットを紹介しながら、日本の文化や伝統についても書いていこうと思っております。

特にお薦めなのは、歳時記・暦のコーナー。

現代日本人が忘れがちな『旬』にこだわって書いてるので、英語が苦手な人も眺めてみてくれたら嬉しいでござる。

さて、実は、このサイト、去年の12月から始めて2ヶ月半。なんと、既に約25カ国に読者が!!世界の色んな国の人に発信してると思うと、ちゃんと勉強しなきゃと思う日々なんだけど、現代日本人こそが日本古来の良さを見失ってしまってるような気もするので、自戒も込めて、自分の国の伝統や文化の知識を持つことが大事なんじゃないかなーと思ってます。

動植物の『種』と同じで、日本古来の文化や伝統も、絶滅、というか失ってしまったら、二度と取り戻すことはできないからね。

やっぱり、興味を持っていなければ、そしてその良さを知らなければ、その価値も分からないし、もしも失ってしまっていたとしても、何年か経った後に、『あ~、なくなってたんだー。昔は○○ってあったよねー。懐かしいねー。』という空虚な会話で終わるだけ。

そういう人を少しでも少なくするために、日本の文化や伝統を発信したいなーと思っているわけで。

そうそう、外国人と何を話したらいいのか分からないっていう声も耳にするので、話のネタとしても使って頂ければ幸いです。

 

前置きが長くなりました。

最近のワタクシは、現代日本の文化は突然生まれたものじゃなくって、日本人が昔から持つ特性が形を変えて現れてるだけで、あーだこーだ言っても、日本人は昔とまったく変わってないのではないか?という仮説に興味を持っております。

で、一つのテーマが『ゆるキャラ』。

やっぱりね、地球的規模で考えると、大の大人が、そして大の地方自治体が動物のキャラクターに宣伝を託すってのは、非常に日本独自的な考え方だと思っております。(良いか悪いかを論じたいのではないので、形容詞に気を使ってみました!) で、『ゆるキャラ』の元になるモノが絶対に昔の日本にもあったはずだと思って色々な書物を読んだ結果、『ゆるキャラ』の祖先は、お稲荷さんの狐と招き猫なんじゃないのか!という結論に達したわけでございます。

注)狐に関しても招き猫に関しても、宗教が関わっていることもあるし、諸説入り乱れているので、ワタクシが書く内容は、『ワタクシ西園寺の個人的な意見』ということに留めてくださいませ。いずれにせよ、諸説、はっきりとした証拠が残ってる訳ではないので、何が正しいとか何が間違ってるとか原理的なことを論じるよりも、どういう説があるのかを知ったり、その説が何故多くの人にとって価値があったか、そして、それを個人的にどう考えるかということの方が大切だと思っております。(←バッシングを避けるための使用上の注意)

 

再び閑話休題

そもそも、『招き猫』の発祥の地とされる所が非常に多く、色んな説を読んだ結果、『招き猫』が今の形の『招き猫』になったのは、案外新しく、明治以降のことなのではないだろうか?ってのがワタクシの結論。 というのも、数々の浮世絵を見たんだけれど、招き猫が描かれている浮世絵を発見することができなかったのだ。

当時の『流行モノ』が描かれているのが浮世絵な訳だから、もしも存在してたら、描かれていたって罰は当たらないはず・・・。

という仮説を立てた上で色々な資料を読んでいたら、『招き猫』的なモノが作られたのは、明治維新の際に狐の土偶を作るのが禁止されたのがきっかけで、その頃、浅草で爆発的にヒットしたということを知りました。

なので、全く『ない話』ではないかなーと。

本当に数限りなく諸説入り乱れているので、日本語が読める方は、このサイトをご覧くださいませ。
ワタクシなんかよりもちゃんと研究されている方なので、本当に興味深いです。是非に!
招猫研究室

ところで、ワタクシが申し上げたいのは、日本ほど『元祖』や『本家』やら『○○発祥の地』、さらには『1番!』というような順位付けを気にする国、そしてそれが宣伝文句として価値になる国は少ないんじゃないかなーって思うわけであります。

『招き猫』の由縁も発祥の地も色々と見つけました。 先程の『招猫研究室』を読んで頂ければ分かると思うのですが、『招き猫発祥の地!』というのが宣伝文句になること自体が、ワタクシが『招き猫』が『ゆるキャラ』のルーツではなかろうかと思ふ由縁であります。

maneki_neko02

それでは『招き猫』が何故、このポーズになったのか・・・という個人的考察。というか、諸説入り乱れる中でワタクシが納得した説を二つご紹介させて頂きます。

 

【仮説 其の壱】 招き猫のモデルは吉原遊郭のお姉さん方!

maneku

この絵は、お姉さんがお客を呼び込む姿ではなく、お客さんにバイバイと言ってる姿らしいのですが、格子窓の中からお客さんを手招きしている姿がモデルなのではなかろうかと。
しかも、この説がワタクシ的に有力であると思われる理由は下記の三つ。

①吉原のお姉さんたちは『猫』と呼ばれていた。
②お江戸の土人形の生産地である今戸も、販売地の浅草からも距離が近い。
③招き猫を置くのは客商売をしている店。そもそも、江戸の商売繁盛を願う縁起物と言えば、王道は『熊手』のような気がするので、あくまでも、『洒落』的要素が多いとしたら、この説もありなのではないかと。

 

【仮説 其の弐】 招き猫のモデルは顔を洗う猫!

catwashingitsface

猫が顔を洗っているように見える行動は、動物学者のモーリス博士によれば、猫が不安や動揺を感じた時の「転移行動のひとつ」であり、気圧や気温の変化によって、猫は物理的心理的ストレスを感じ、気持ちを落ち着かせるまてのグルーミングであるとのことで、要は、お客さんと言っても店主にとったら有難い存在である人も、猫にとったら不安を起こさせる不審人物であるわけで、そんなノンビリとした日常を脅かす不審人物が接近して来たら猫にとっては迷惑なわけで・・・。そのストレス解消のためのポーズを、店主が、『おーっ!うちの猫にゃんが顔を洗うとお客が来るぞ!』と手前勝手に思ったのではないかと・・・。(笑)

そう、このポーズの猫を『招き猫』と呼んでしまうのは、人間の罪深さ、業の深さな訳。
という訳で、愛する主人のために自己犠牲を厭わずに尽くす猫の姿が『招き猫』であるとすれば、我々人間は、もっと敬意を払うべきではないかと思う由縁であります。

『招き猫』自体に敬意を払うとともに、昔から作っている日本の伝統工芸にも敬意を払うべきではないかと考え、『招き猫』の発祥に関わりがあるとされる、伝統的な土人形を紹介させて頂きます。

 

○佐土原人形
『招猫研究室』によれば、九州の宮崎で、文久2年(1862年)に亡くなった方の墓地から約80体の土人形が発掘され、その中に『招き猫』的な土人形も発掘されたとのこと。その土人形を調べてみると、佐土原人形ではない可能性もあるらしいのだけれど、素敵だったので紹介させて頂きたく。

sadowaratuchiningyo
写真:グルネット宮崎
http://www.gurunet-miyazaki.com/mingei/sadowaraningyou/sadowaraningyou.htm

佐土原人形 ますや
http://www.sadowaraningyo-masuya.com/
宮崎県宮崎市佐土原町上田島1396番地-10
TEL:0985-74-4349
FAX:0985-74−4331
営業時間:AM9:00 ~PM5:00
定休日:日曜日(午前中)

佐土原人形の歴史は慶長年間に始まったとされ、明治から大正時代にかけて繁栄し、当時は14軒もの窯元が存在していたそうですが、現在残っているのは、この『ますや』さん一軒のみ。現在は、5代目の方が先祖から受け継いだ伝統を守っていらっしゃるとのことです。

 

○伏見人形
伏見人形は伏見稲荷で有名な京都の伏見の江戸時代の後半に流行した焼き物。
日本全国にある土人形は大抵この伏見人形の系統であるそうで、いわば、日本の土人形の発祥の地。

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manekineko_syou_l

江戸時代には、伏見のメインストリートには60軒もの窯元がいらっしゃったとのことですが、現在は1750年創業の
丹嘉さんしか残っていないとのことです。
丹嘉さんのHPでは、たくさんの作品もインターネットで見ることができるので、是非ご覧になってみてください!

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また、伏見稲荷に行く機会がある方は、是非お店に!JR奈良線の稲荷駅もしくは京阪線の伏見稲荷駅から徒歩5分のところにあります。

tizu2

 

○今戸人形
さて、最後はお江戸の土人形。
先程、吉原のお姉さんがモデルだって話を書いた時にも少し触れた今戸の焼き物です。

今戸で焼き物が作られたきっかけは、頻繁に起きていた火事を防ぐために新しく家を建てる場合には屋根を瓦葺にせよ!と江戸幕府が命令したこと。そして京都から瓦職人が江戸に招聘されたそうで、その方々が今戸に居を構え、焼き物を作り始めたのだとか。瓦の他に日常に必要な食器や火鉢を作っていたそうで、その合間に人形作りも始まったとのことでした。

kawara_imado

安藤広重 隅田川百景より

江戸に派遣された職人が京都出身ということは、今戸焼きも伏見の影響を受けている可能性は非常に高いけれど、江戸独自の文化的要素が加わって、独自の今戸焼きとして独自の発展をとげ江戸後期には製造量も販売量もピークを迎えました。 しかしその後は、関東大震災や第二次世界大戦の爆撃によって被災し、生産量が減り、また、後継者にも恵まれなかったこともあって、現在、伝統を受け継ぐ職人さんは今戸地域には1名しかいらっしゃらないとのことでした。

今戸神社は、今戸焼き発祥の地として、今戸人形の招き猫も販売されていたり、奉納されているので、浅草に行かれる際には是非、立ち寄ってみてください。また、羽子板市等の浅草寺でのイベントでも今戸人形を販売する露天が出店するみたいでござる!

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今戸神社で販売している今戸招き猫。ちなみに、生産が間に合っていないようで販売は休止しているようです。

 

という訳で、価格の安い大量生産モノも良いけれど、ワタクシは、作ってる人の顔を想像できなくなっている社会に一抹の寂しさを感じている人間の一人でございます。価格を安くするために、もちろん原材料のコストもあるけれど、最も影響を受けてしまうのは作っている人間。購買者である我々と同じ人間だよね。しかも、我々が敬意を表すべき技術を持った人間。そんな素晴らしい人間が生きづらくなっている世の中って、どこか間違ってるような気がするんだよね・・・。価格が安いってことは価値が低いってこと。安さを求めることって、結局は人間自体の価値を人間自らが下げていることにつながってしまうような気がするよ。

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西園寺怜のお薦め文庫!

佐土原土人形の世界
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稲荷信仰の世界
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絵解きと縁起のフォークロア
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キャット・ウォッチング1
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