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世に従はないの巻

公開日: : 最終更新日:2014/01/19 日本語 , ,

世に従はん人は、先づ、機嫌を知るべし。序悪しき事は、人の耳にも逆ひ、心にも違ひて、その事成らず。さやうの折節を心得べきなり。但し、病を受け、子生み、死ぬる事のみ、機嫌をはからず、序悪しとて止む事なし。生・住・異・滅の移り変る、実の大事は、猛き河の漲り流るゝが如し。暫しも滞らず、直ちに行ひゆくものなり。されば、真俗につけて、必ず果し遂げんと思はん事は、機嫌を言ふべからず。とかくのもよひなく、足を踏み止むまじきなり。

春暮れて後、夏になり、夏果てて、秋の来るにはあらず。春はやがて夏の気を催し、夏より既に秋は通ひ、秋は即ち寒くなり、十月は小春の天気、草も青くなり、梅も蕾みぬ。木の葉の落つるも、先づ落ちて芽ぐむにはあらず、下より萌しつはるに堪へずして落つるなり。迎ふる気、下に設けたる故に、待ちとる序甚だ速し。生・老・病・死の移り来る事、また、これに過ぎたり。四季は、なほ、定まれる序あり。死期は序を待たず。死は、前よりしも来らず、かねて後に迫れり。人皆死ある事を知りて、待つことしかも急ならざるに、覚えずして来る。沖の干潟遥かなれども、磯より潮の満つるが如し。

 

これは、吉田兼好の『徒然草』の一文。

Yoshida_Kenko

Wikipediaより転載

古文が得意な人ばかりではないので、念のため、簡単な現代語訳をつけておくね。

(あっ!でも、かなり適当な西園寺流の日本語なので、テストや宿題の時には転載しない方が身のためだ。)

世の中でうまくやっていこうと思う人は、まず、タイミングというものを知らなければならない。タイミングが悪いと、他人にもひどいことを言われるし、うまくいかないから、タイミングの良し悪しを考えなくてはならない。

しかし、病気や出産や死はタイミングなどとは関係なく起こる。タイミングが悪いからといって中止になることはない。物が生まれ、ある期間存続し、それが変化してゆき、やがて滅るという、全ての物は変化し続けるという本当に大切なことは、水量が多く流れが激しい川が流れていくようなものだ。 少しの間も停滞することなく、どんどん進んでいくものである。

だから、仏道修行でも、俗世間を生きていく上でも、必ずやり遂げようと思うことはタイミングがどうのこうの言うべきではない。あーだこーだと文句を言ったり、ためらったり、二の足を踏んだりしてはならない。

春が暮れてそのあと夏になり、夏が終わって秋が来るのではない。春は春のうちから既に夏になる準備が始まっているし、夏の間に既に秋の気配が入り交じり、そして、秋はすぐに寒くなり、寒いはずの十月は、小春日和の暖かさで、草も青くなり、梅も蕾をつけてしまう。木の葉が落ちるのも、木の葉が落ちた後に芽が生じるのではない。

木の内側から既に芽吹きが始まっていて、その芽吹きの勢いに堪えられなくなって木の葉が落ちる。新しい変化を迎え入れる気配が木の内側で待ち受けているからこそ、交替する順序が非常に速い。

生まれること・老いること・病気になること・死ぬこと、この四つの苦しみがやってくることも、四季の変化以上に速い。四季は速いといっても、順番が決まっている。しかし、死期には順番がない。死は前方からやってくるものとは限らず、 いつの間にか、人の背後に迫っている。人は誰しも皆、死があることを知っているが、まさか死が急にやってくるとは思っていない時に死は不意にやってくる。それは干潟が遥か彼方まで続いていると安心していても、足もとの磯から急に潮が満ちて来るようなものである。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

なじょして、続・西園寺通信の最初の記事に、この徒然草の一説を選んだかというと…

 

まぁ、変化を恐れて二の足を踏んではいけないのであーるということを言いたかったわけ。

 

本年は、色々ありました。

 

7月末に一つのことにピリオドを打って、新たな一歩を踏み出した2013年。

 

その2013年も終わりになりかけている訳で・・・。

今までのことを振り返ってみると、自分のやりたいことを見つけ、自分のやりたいことをやってきた。飽きっぽいのかなんなのか、そのやりたいことは日々進化していく。

 

吉田先生も仰っておられますが、

 

『猛き河の漲り流るゝが如し』

 

もちろん、作り上げた物を壊すことは誰しも躊躇することだけど、それは、ワタクシの内側から新しい芽が芽吹いてしまって木の葉が落ちただけのこと。

 

 

というわけで、心機一転、続・西園寺通信を本日より開始いたします。

 

今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

徒然草(つれづれぐさ)=鎌倉時代の随筆。2巻。作者は兼好法師。出家前の1310年(延慶3)頃から31年(元弘1)にかけて断続的に書いたものか。「つれづれなるままに」と筆を起こす序段のほか、種々の思索的随想や見聞など243段より成る。名文の誉れ高く、枕草子と共に日本の随筆文学の双璧。 (『広辞苑』第6版)
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