*

『おもてなし』について改めて考えてみた!の巻

昨日でソチの冬季オリンピックも終了。

そこで改めて、日本、もとい、東京が2020年のオリンピックの招致に成功したキーワードの一つである『おもてなし』について改めて考えてみようかなと思い、この2本の新聞記事を読んでみた。

 

おもてなし「ニッポンのココが残念」 外国人100人に聞く
(日本経済新聞 電子版 2014年2月16日)

 

言語の問題はさておき、日本に銀行口座を持っていない外国人にとって、マネーの問題が非常に多いのは必定。

事実、ワタクシが外国に行く時には現地通貨を日本で買ってから行くことは非常に少なく、クレジットカードもしくは外国銀行が発行しているキャッシュカードを使ってATMで引き出すことが多いのだけれど、日本のATMはまだ外国発行のクレジットカードが使えなかったり、クレジットカードの承認端末も通りにくかったりすることが多いので、かなり不便に感じられると思うんだな。

 

店舗でクレジットカードが使えるか否かは、手数料の問題もあるし、都会の外の個人経営の店にクレジットカード利用を強制するのは非常に酷な気もするので、ATMがシステムの改定が今後予定されているのは、非常にグッドニュースではないかなと思うのであります。

 

bancomat

挿入したカードが戻って来ないかも・・・とか、ヒッタクリに狙われてるんじゃないか・・・と、
得も言われぬ恐怖によく襲われた街中に設置されているイタリアのATM
しかし、ちゃんと日本のクレジットカードも使える優れもの

 

 

さて、もう一つの非常に興味深い記事はこれ!

消えた「おもてなし」文化 青木保さんに聞く

縁薄れ、心遣い忘れる あいさつから再出発
2013年11月9日 日本経済新聞 夕刊

 

文化人類学者で「『日本文化論』の変容」などの著書もある国立新美術館館長の青木保氏の言葉を一部引用させて頂くと、

 

「本来のおもてなしとは、お金が介在しない心遣い。全く知らない人であっても困っていたり寂しそうにしていたりしたら、ちょっと声をかけて『どうかしましたか』『お茶でもどうですか』と聞いてあげる。人間関係を円滑にする潤滑油であり、他人の温かさを知り、自分もそれを他人に受け取ってもらうことで気持ちよくなる、そういうものだと思うんです」

 

実は、ちょっと前まで、サービス業を生業として来たワタクシですが、その際に重んじてきたことは『おもてなしの心』だったんだけど、挫折してしまった経験がある。

そもそも、『働く』とか『買う』っていうコンセプト自体がドラスティックに変わってしまっている現在、『お仕事』として『おもてなし』を実践してもらうことを経営者が『強制』することはブラック企業につながってしまう危険性があるのだ。というのも、青木先生も仰っているように、『おもてなし』に『金銭』が絡んでしまっては『おもてなし』にならないのであります。

 

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現代日本での『お仕事』の定義は、自分がやった労働にきっちりと対価をもらうこと。故に、『おもてなし』的ココロは『サービス残業』的な扱いとなり、労働法では禁じられているわけさ。

そして、どんな人間でも広く公平に職に就けるよう、誰でも簡単に働けるように、『マニュアル』というものが仕事場に導入されているわけで、『マニュアル』に書かれている『おもてなし』しか実践不可能となってしまふ。

『マニュアル』に明記されている『おもてなし』とは、スマイルであり、敬語を越えるスーパー敬語であり、『私は店の利益ではなくお客様のことを第一に考えてますよ』と思わせるポーズや言動であったりする、『ネオ・おもてなし』であると思われるのであります。

 

例えば、コンビニで、30円のチョコレート1個買っただけで袋に入れてくれたり、煙草を他のモノと一緒に買うお客には、『おタバコは別の袋に入れさせて頂いてもよろしいですか?』などと言う台詞が用意されていたりして、ワタクシのような意地悪な客に、『そんなに別の袋に入れたいんなら、入れてくれてもかまいませんよ。』と言われてしまったりする。

ワタクシとしては、この対応の真意を全く理解できなかったので、コンビニでの就労経験がある人にコッソリとその理由について聞いてみたことがある。どうやら「煙草のような身体に悪いモノと食べ物を一緒の袋に入れるなんて言語道断だ!」とお怒りになるお客様がいらっしゃるようで、そのような潜在的クレームの種を潰すために用意されている予防接種的な秘密兵器だということらしい。

タバコの害毒が箱やら紙パッケージやらフィルム越しに漏れ出しているとしたら、そりゃ大変なことになるよね。そして、タバコのような害毒を素手で扱うコンビニの店員さんにゴム手袋などを支給しなければ、かなりのブラック企業であるとも言えるだろう。

 

さてさて、なんとなく『おもてなし』から話が逸れてしまったようなので、話を元に戻すと、日本古来の『おもてなし』が絶滅の危機に瀕してしまった理由としては、『お仕事』の概念が変わってしまったことの他に、『他人』に対する見方が著しく変貌してしまったことが挙げられるような気がする。

今では『他人を見たら泥棒、もしくは詐欺、変質者と思え』というのが悲しいかな現実的な発想になっているようで。。。

 

先日、或るお年寄りからこんな話を聞いた。

地図を頼りに知らない場所に行こうと思っていた際に、どうも持っていた地図がアップデートされていない古い地図だったようで、迷子になってしまったらしい。なので、道行く人に道を聞いたら、

「説明するのはとっても難しいし、かなり遠い所だから、車で連れて行ってあげますよ。」

と言ってくれたので、その親切な人の車に乗せてもらい目的地まで連れて行ってもらったのだそうだ。

 

さて、この話。貴方は、「良い話だねー!」「良かったねー!」と100%同意もしくは感動できるだろうか??

この親切な人は、かなりの確率で『おもてなし心』を持っている方に違いありません。

しかしながら、貴方の心をモヤモヤとさせる『何か』も潜んでいるわけだ。

 

アメリカ、及びヨーロッパの人の目から見ると、日本の飲食店に『チップ』の制度がないのは理解しがたいシステムであるみたいなんだよね。 ワタクシも個人的には、『チップ制度』を導入してもいいんじゃないかとも思ったことがあるんだけど、それは恐らく日本の土壌では無理だと思ふんだよね。

その理由は、『おもてなし』のコンセプト・・・。 日本の伝統である『おもてなし』のコンセプトでは、お客様にサービスをするのは『金目当て』の行動ではなく、『人』としての親切心によって自然と突き動かされてしまった結果でなくてはいけないからなんだな。

 

『おもてなし』的な心、本当に賛成です。個人的に大好きだ!そして、そうあるのがベストだとも思っている。

 

しかーし、米国から輸入された『JOB』の定義とは相容れないモノであるので、日本の『お仕事』の定義を日本伝統のモノを踏襲するのか、後から輸入された定義に修正するのかをきちんと決める必要があるんじゃないかなと思ふのであります。

それは、日本で教える英語を『米語』にするのか『英語』にするのか『豪語』にするのか、もしくは『オリジナルの日本英語』にするのかをきちんと決める必要があるのと同じくらい必要なことだと思うのだが・・・。

 

明治維新以降、急激に外国の文化が輸入され、日本的なものが時代遅れである、カッコ悪いと思う考え方が強く存在し、また敗戦後、勝戦国の文化偏重の風潮が強まった中、そろそろ、日本オリジナルのモノで行くか、ミックスさせるかを決めなければ、色んな場面でダブルスタンダードが発生してしまっている現在、正解が存在しない非常に生きにくい国になっていくことにますます拍車がかかってしまうような気がするのだが、皆様いかがでございましょうか?

 

英語の記事ではありますが、日本における神道と仏教の関係性を弊ブログ “2 Hours Drive From Tokyo” で書いております。日本の神道も古来の神道と明治以降の神道では若干意味が異なっていたり、また、それぞれに信者の方々がいらっしゃるのでなかなか素人が口を出しにくい複雑な問題ではあると思いますが、日本古来の神道と外国から輸入された仏教が良い感じに混ざりあって、日本オリジナルの仏教に進化した経緯がとても大好きな我々が、そんな点について、生意気にも個人的見解を書いておりますので、お時間があれば読んで頂ければ嬉しい次第であります。
にほんブログ村 歴史ブログ 日本の伝統・文化へ

 

 

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Comment

  1. Tina より:

    西園寺さんお久しぶりです。
    私のことを覚えていらっしゃったらうれしいのですが、テトラで以前お世話になったTinaです。

    少し前の記事に長文のコメントを書かせていただくことをお許しくださいませ・・・。

    今現在私はドイツに留学をしていまして、あと2ヶ月ほどで帰国します。

    こちらに1年住んでみて、日本とヨーロッパ諸国、もっと言えば日本と他国のサービスに関する考え方の違いに驚かされました。

    留学したてのころはどこのお店でも対応が淡白で、店員さんには笑顔もなく、お客に気を配るなんていう日本のスタイルはどこにもあらず「なんて冷たい対応をしてくれるんだ!」と不快な思いをしていました。スーパーではベルトコンベア式のレジで購入したものをバカスカ左に流して、「はい、お釣り。」と真顔で対応され、何か悪いことをしたか?
    と思ったこともあります。

    しかし最近私はこの塩対応に対して肯定的になっています。

    日本のレストランなどのマニュアル通りのサービスというのは決して相手を心からもてなそうとしているわけではなくて、サービスそれなりの対価をもらっているし、クレームがくるとその責任を自分手取らなくてはいけないという何か恐怖心のようなもので成り立っているサービスだと思うからです。

    それが分かりきっていて丁寧な対応をされるのなら、いっそ淡白に対応してくれたほうがお客も変に気を使わないのに、と思ってしまいます。

    おもてなしに金銭が絡むとおもてなしにはならない、という言葉、すごく同感できました。

    私もおもてなしの心には大賛成です。なくなってはいけない心構えでもあると思います。しかし、今の日本で100%のおもてなしの心というものを実現させるのは難しいことではあるとも思いました。

  2. rei_saionji より:

    Tinaちゃん、コメントありがとー。

    覚えてるかって?もちろん、覚えてるに決まってるじゃまいかー!ドイツに行けたのかなー、身体の調子はどうかなーって心のどこかでチョット心配しておりました。

    日本国内で当然のように行われている事って、海を越えると全く当然ではなくなるってことが身体で分かってる人って実は少ないよね。特に日本は鎖国していた歴史もあるし、開国後と戦後にドバーッと外国の文化が怒涛のように入って来てしまったから、何が正しいのか何が間違えなのか、何だか分からない『混沌』状況が整理されることなく数十年放置されてしまった状況なような気がするんだよね。(すっごく大切な憲法だってそんな状態な訳だしね・・・)

    ワタクシの個人的な意見では、どれも正解で、それがその国らしさを表す特徴だと理解してるだけど、『嘘で塗り固めた姿』=日本の特徴 ってな具合になってしまうのは誰得?って、悲しい気分になったりしまふ。

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